<喰待ち>

空に吊った。

郊外かド田舎でのみ有り難さが実感できる、他称「美形とロマンスと魔法の神」を。これを除けば空は闇一色になる。

小さな点々が残ることは言うまでもないが、あんな数ドット弱の光で歩けるような恩恵に浴していないのが人間だ。

とは言え、ここらには電灯もビルもあるんだから別に吊らなくても構わないか。

大気汚染のヴェールを得意げに被って、日に日にぶくぶく肥っていく奴が消えたと言って、此処の誰が真実困るのだろう。

「ところで俺は誰だと思うよ?」

空気は冷やりと澄んでいる。

「それで、アレは何だと思うよ?どうして毎朝消えると思う?なんで毎晩出ると思う?」

言葉はげらげらと嗄れた声で哂うと、カウントを始める。

あいうえおかアルファベットかわからぬが、聞き慣れた言語ではなかったようだ。

「アレは―――らに見られるのが辛いんだ、だから半日が限界だ。

重大な期待をかけられ、あまつさえ神にまで崇め奉られているくせ、

自分に出来ることと言ったら元気な日に―――の足元を茫漠照らしてやるのが精一杯の関の山。

アレを踏んだ奴が居たとか居ないとか噂になったが、要するにたかが土塊。

それでもアレはくたばる寸前までぜえぜえいって頑張ってんだ。

その証拠に、見ろよ、もうあんなにがりがりの痩せっぽちになっちまった。

明日は定休日だ。寝かしといてやんなよ」


今朝はよく晴れた。見上げると目を痛めそうなほどだ。

「安心してくれ、俺は休まねぇよ。アレを光らしてんのも実は俺だ。

基本的にゃあ不眠不休のハードウォーカー、しかしやっぱり理不尽な期待はよしてくれ。

なんのかんの言っても歳にゃ勝てねぇ。今もう折り返し地点に来てるんだ」